オットー・ネーベル展~知られざるスイスの画家(Bunkamuraザ・ミュージアム)~の感想。

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オットー・ネーベル展~知られざるスイスの画家-色と形の冒険家たちの共演-~(Bunkamuraザ・ミュージアム)

オットー・ネーベルという画家の展覧会を観てきました。

オットー・ネーベル≪ナポリ≫(部分)1931年 水彩 オットー・ネーベル財団蔵

知られざる画家

私は芸術学部の洋画コースをでているのですが、恥ずかしながらこの画家のことを知りませんでした。これは美術館でメインをはるような画家としてはかなり珍しいことなのですが、ごく稀にいたりします。

今回の場合は、美術館の方が知られざるスイスの画家と銘打っているだけに、やむを得ないことなのかなとは思います。

東京の美術館情報で興味を持ったので、公式サイトをあたってみましたが、けっこう好きな作品だったので1,500円という強気の価格設定ですが観に行くことにしました。

左から≪叙情的な答え≫オットー・ネーベル財団蔵 ≪避難民≫オットー・ネーベル財団蔵 ≪アスコーナ・ロンコ≫ベルン美術館蔵

時代と影響

影響を受けた人物がカンディンスキーや青騎士のメンバーで夭折したフランツ・マルク、そしてクレーとは生涯親交があったようです。他のメンバーは言わずと知れた大御所ばかりなのですが、なんともネーベルなんて聞いたことがない、絵が思い出せないというレベルじゃなくて聞いたことすらないというのはある意味サプライズな展覧会です。

しかもこれも恥ずかしながら初めて訪れたBunkamuraザ・ミュージアムだったのですが、かなりお格式の高い美術館でしたので驚きです。

左から≪ムサルターヤの町Ⅳ景観B≫ベルン美術館蔵 ≪地中海から(南国)≫オットー・ネーベル財団蔵 ≪聖母の月とともに≫ベルン美術館蔵

思ったより良かったです。

今回の展覧会では同世代の巨匠であるクレーシャガールカンディンスキーという3人の作品も展示されるということで、正直これはどうなのだろうと思っていたのですが、全く浮くことはなく良い展覧会になっていました。

やはり人気のあるシャガールなどの油彩画も複数点来ていたので、そのおかげもあって平日にも関わらず女性客が入っていました。

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しいていえば色彩が弱点。

  • シャガール
  • クレー
  • カンディンスキー

という、この中に誰を並べれば色彩で対抗できるかというメンバーの中で、やはりネーベルの色彩が弱く感じました。

独自の共感覚の能力を持ち、数字に色が見えたor感情に色が見えたと言われるカンディンスキー。音楽家である両親から学び、途中まで音楽家を志しながら画家に転身して天性の色彩を奏で続けたクレー。そして、言わずと知れた色彩の魔術師と謳われることの多いシャガール。

ハッキリ言ってゴッホゴーギャンをぶつけても厳しいかなというレベルです、ネーベルはいちおう色彩に強みがあって最高クラスの色彩家であることは言うまでもありませんが、やはり努力の域を出ていないというか。努力では越えられないような、なんじゃこりゃ~どっからこの組み合わせになったんだ~という絵が少ない。

左から≪輝く黄色の出来事≫≪コン・テネレッツァ(優しく)≫≪ドッピオ・モヴィメント(二倍の速さで)≫ すべてオットー・ネーベル財団蔵

パウル・クレーとの差

とりわけ作品がよく似ているクレーと比較すると差は歴然で、クレーが一色のみでは嫌われるような色を画面で構成し、信じられないような光を放っている絵が目立つのに対し、ネーベルはもともと綺麗な濁りの少ない明るい色で画面を構成しています。なので、その分だけどうしても画面に奥行きがなくなるし、メリハリもなくなります。

それは線や形にも同じことが言えて、カンディンスキーがストイックな線やラフな線でも画面統一ができるのに対し、ヌーベルの絵は職人的なストイックさを持つ作品が目立ちます。

陰と陰をかけ合わせてでも輝く画面を生み出せた巨匠達と、陽と陽、もしくは陽と陰でしか光を生み出せなかったネーベル、その差はたしかに感じましたが、1人の色彩家が到達できる最高レベルであることに違いはなく、他の3人がただ天才であった、という説明しかできないのではないかと思うのです。

マルク・シャガールの最高傑作『私と村』

さて、この展覧会では公式サイトにも取り上げられていない程プッシュされていませんが、巨匠シャガールの最高傑作である≪私と村≫が観られます。

マルク・シャガール ≪私と村≫

1911年 キャンバス・油彩 ニューヨーク近代美術館蔵

ハッキリ言ってこの絵だけでも観に行く価値があるほどの超有名作で、美術室にもポスターが貼ってあったり、もちろん教科書には出ていたと思います。

この作品はニューヨーク近代美術館蔵となっているのですが、なんでこの絵があるのか目録をとり忘れてしまったため詳しいことが分かりませんが、同美術館から他にも借りていて、その中の一点なのかもしれません。いずれにしろ、名画を独り占めできるほど人はいないのでこれはかなりお得に感じました。

まとめ

以上オットー・ネーベル展~知られざるスイスの画家-色と形の冒険家たちの共演-~(Bunkamuraザ・ミュージアム)のレビューでしたが、基本的には渋谷という美術というイメージがあまりない街なので、ゆっくり観れて見やすさの点では評価できるし、美術館自体も悪くありません。

けっこう好みの分かれる画家ではあるとは思いますが、シャガール、クレー、カンディンスキーの絵も観れるので足を伸ばす価値は十分にあると思いました。