NHKを基本的にずっと見ている。
作業中でも、あまり気にならないし、情報収集にも良い。
そんな中、良さそうな番組だと感じたらすぐに録画ボタンを押すようにしている。
NHK特集 勝負~将棋名人戦より~
先日、1978年の将棋、名人戦のドキュメンタリーが素晴らしかったので、毎日繰り返し観ている。
私は83年生まれなので、なんとなく時代の空気も感じられて、懐かしいような気持ちになれるし、3月のライオンという漫画を大人買いして、将棋がテーマだということで、自分の中では今将棋に関心が強かった。
番組は中原誠名人に、挑戦者・森鶏二八段が挑む36期名人戦のドキュメンタリーです。
この時点で、1勝1敗
第三戦目の様子が、ナレーションなしの音声のみで記録されている、ただ無音で一時間、その番組構成が素晴らしい。
駒を指す音、独り言やつぶやき、お茶をすする音、なにかを食べる音などが丁寧に記録されている。
解説の、森内俊之九段をして、
「現代のような技術の競い合いだけではなく、人間力をためす要素があった」
という話の通り、心理戦があっておもしろい。
森鶏二八段は、名人戦の前にいきなり頭を丸めて、周囲を動揺させ、対局中でもメロンを食べるなどしている。
また、今でもこんなことあるのか知らないけど、いきなり立会人の人が、もう勝負は始まっているのに
「お互い昨日はよく眠れましたか?」
なんて話しかける。
それにたいして、
「なにかありましたか」
と答える名人、
「いや~下の遊女の相手をしましてな~」
とか話してる、これ、恐らく現代ではないですよね、
対局は始まってるわけですよ。
番組では両社のコメントがところどころ入れられるので、印象に残ったものを紹介します。
対戦相手について
名人
「そうですね、あまりやりやすい相手とはいえないですね。まだつかまえきれてないところがあるんでね、意表をつかれるということがありますね」
森八段
「いや、楽な相手ですね、相手の手の内は分かってるわけですよ。
全部調べましたよ、結果中川さんは強くないということに達したわけですね」
勝負の世界について
名人
「保障っていのはないですから、ただ他の世界でも厳しさっていうのはそれぞれありますからね、将棋の世界だけが厳しいってわけではありませんよね」
森八段
「今の僕らの世界っていうのは、まだ甘いと思ってるんですよ。
負けてばっかの人でも生活してるんですよ、負けてばっかじゃ生活できなくて、アルバイトでもしてるっていうんなら本当に厳しいんですけどね。
なんかぬるま湯みたいでねえ、面白くないんですよ、僕は」
対局は後半戦に、9時間の持ち時間を使い切った名人が、1分将棋に入り、追い詰められて投了、1勝2敗となった。
結局は、その後名人が3連勝して、4勝2敗で防衛に成功している。
名人戦について
名人戦7番勝負は、一方が4勝するまで、全国各地を転戦するそうです。
この日の舞台は愛知県蒲郡市西浦町
名人位とは?
七大タイトルの内、竜王位とならぶ、将棋の最高位。
江戸時代から世襲制で始まりましたが、
第十三世名人の提案により実力制になりました。
有名な羽生善治さんが実力制九代名人で、
現在は第十六代佐藤天彦名人が、2016年5月に羽生さんから4連勝でタイトル奪取。
現在、今年の名人戦が始まっており、2勝2敗ということです。
一時代を築いた名人のコメント
十四世名人 木村義雄
「技量が等しい場合は体力がモノをいう、体力が等しい場合は最後は精神ですね。」
十七・十八期名人 升田幸三
「運が大事、成功者はそれを生かしている。運というの分析すると、走る車に人が乗せられとる、こう解釈できますね。
勘ですね、はなはだしい力となりますね、それから技術と根気ですね。
運、勘、技、魂(うんかんぎこん)と私は言っております。」
十五世名人 大山康晴
「天才だという人には出来不出来がありますね。
これが、長年続けると、もう当たり前になって天才じゃなくなってくる。
安定することが大事なんです、勝ち続けるんじゃないですよ。
七割勝つのなら、七回勝って、三回負けるというのを、どのくらい続けられるのか、それが本当の強さだと思います。」
十六世名人 中原誠
「純粋に将棋の手として、最善手をうっていくのか、それとも勝負に徹するのかがありますね。僕自身は将棋というより、勝負なんですね、これは意外なんですけど。
妙なもので、純粋に良い将棋を打とうとして打てたことはあまりないんですね、何かそういう舞台があって燃えてくるというか、そういうものがあるんですね。」
顔がいいですよね
真剣な表情はカッコいいですよ、
皆さん、選ばれたものの自信と風格でしょうか。
今、大活躍の藤井聡太四段にも、
ぜひ名人になってもらいたいですね。