オットー・ネーベル展~知られざるスイスの画家(Bunkamuraザ・ミュージアム)~の感想。

オットー・ネーベル展~知られざるスイスの画家-色と形の冒険家たちの共演-~(Bunkamuraザ・ミュージアム)

オットー・ネーベルという画家の展覧会を観てきました。

オットー・ネーベル≪ナポリ≫(部分)1931年 水彩 オットー・ネーベル財団蔵

知られざる画家

私は芸術学部の洋画コースをでているのですが、恥ずかしながらこの画家のことを知りませんでした。これは美術館でメインをはるような画家としてはかなり珍しいことなのですが、ごく稀にいたりします。

今回の場合は、美術館の方が知られざるスイスの画家と銘打っているだけに、やむを得ないことなのかなとは思います。

東京の美術館情報で興味を持ったので、公式サイトをあたってみましたが、けっこう好きな作品だったので1,500円という強気の価格設定ですが観に行くことにしました。

左から≪叙情的な答え≫オットー・ネーベル財団蔵 ≪避難民≫オットー・ネーベル財団蔵 ≪アスコーナ・ロンコ≫ベルン美術館蔵

時代と影響

影響を受けた人物がカンディンスキーや青騎士のメンバーで夭折したフランツ・マルク、そしてクレーとは生涯親交があったようです。他のメンバーは言わずと知れた大御所ばかりなのですが、なんともネーベルなんて聞いたことがない、絵が思い出せないというレベルじゃなくて聞いたことすらないというのはある意味サプライズな展覧会です。

しかもこれも恥ずかしながら初めて訪れたBunkamuraザ・ミュージアムだったのですが、かなりお格式の高い美術館でしたので驚きです。

左から≪ムサルターヤの町Ⅳ景観B≫ベルン美術館蔵 ≪地中海から(南国)≫オットー・ネーベル財団蔵 ≪聖母の月とともに≫ベルン美術館蔵

思ったより良かったです。

今回の展覧会では同世代の巨匠であるクレーシャガールカンディンスキーという3人の作品も展示されるということで、正直これはどうなのだろうと思っていたのですが、全く浮くことはなく良い展覧会になっていました。

やはり人気のあるシャガールなどの油彩画も複数点来ていたので、そのおかげもあって平日にも関わらず女性客が入っていました。

しいていえば色彩が弱点。

  • シャガール
  • クレー
  • カンディンスキー

という、この中に誰を並べれば色彩で対抗できるかというメンバーの中で、やはりネーベルの色彩が弱く感じました。

独自の共感覚の能力を持ち、数字に色が見えたor感情に色が見えたと言われるカンディンスキー。音楽家である両親から学び、途中まで音楽家を志しながら画家に転身して天性の色彩を奏で続けたクレー。そして、言わずと知れた色彩の魔術師と謳われることの多いシャガール。

ハッキリ言ってゴッホゴーギャンをぶつけても厳しいかなというレベルです、ネーベルはいちおう色彩に強みがあって最高クラスの色彩家であることは言うまでもありませんが、やはり努力の域を出ていないというか。努力では越えられないような、なんじゃこりゃ~どっからこの組み合わせになったんだ~という絵が少ない。

左から≪輝く黄色の出来事≫≪コン・テネレッツァ(優しく)≫≪ドッピオ・モヴィメント(二倍の速さで)≫ すべてオットー・ネーベル財団蔵

パウル・クレーとの差

とりわけ作品がよく似ているクレーと比較すると差は歴然で、クレーが一色のみでは嫌われるような色を画面で構成し、信じられないような光を放っている絵が目立つのに対し、ネーベルはもともと綺麗な濁りの少ない明るい色で画面を構成しています。なので、その分だけどうしても画面に奥行きがなくなるし、メリハリもなくなります。

それは線や形にも同じことが言えて、カンディンスキーがストイックな線やラフな線でも画面統一ができるのに対し、ヌーベルの絵は職人的なストイックさを持つ作品が目立ちます。

陰と陰をかけ合わせてでも輝く画面を生み出せた巨匠達と、陽と陽、もしくは陽と陰でしか光を生み出せなかったネーベル、その差はたしかに感じましたが、1人の色彩家が到達できる最高レベルであることに違いはなく、他の3人がただ天才であった、という説明しかできないのではないかと思うのです。

マルク・シャガールの最高傑作『私と村』

さて、この展覧会では公式サイトにも取り上げられていない程プッシュされていませんが、巨匠シャガールの最高傑作である≪私と村≫が観られます。

 

マルク・シャガール ≪私と村≫

1911年 キャンバス・油彩 ニューヨーク近代美術館蔵

 

ハッキリ言ってこの絵だけでも観に行く価値があるほどの超有名作で、美術室にもポスターが貼ってあったり、もちろん教科書には出ていたと思います。

この作品はニューヨーク近代美術館蔵となっているのですが、なんでこの絵があるのか目録をとり忘れてしまったため詳しいことが分かりませんが、同美術館から他にも借りていて、その中の一点なのかもしれません。いずれにしろ、名画を独り占めできるほど人はいないのでこれはかなりお得に感じました。

まとめ

以上オットー・ネーベル展~知られざるスイスの画家-色と形の冒険家たちの共演-~(Bunkamuraザ・ミュージアム)のレビューでしたが、基本的には渋谷という美術というイメージがあまりない街なので、ゆっくり観れて見やすさの点では評価できるし、美術館自体も悪くありません。

けっこう好みの分かれる画家ではあるとは思いますが、シャガール、クレー、カンディンスキーの絵も観れるので足を伸ばす価値は十分にあると思いました。

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没後30年、銅版画家、清原啓子(八王子市夢美術館)の感想

無職がまた美術展行ってきました。

年間フリーパスを買ったし、行かないともったいないということでバイトの面接のついでに八王子市夢美術館へ。

 

銅版画家、清原啓子

今月から銅版画家の企画展で、清原啓子という八王子出身の銅版画家でしたが、恥ずかしながら版画の知識がないために知りませんでした。

作品の完成度からみて、たぶんけっこう有名な人だと思います。

 

≪卵型のスフィンクス≫ 1982年 エッチング 八王子市夢美術館蔵

 

≪Dの頭文字≫ 1980年 エッチング 八王子市夢美術館蔵

 

夭折の銅版画家

女性の銅版画家ですが、異常なまでの精密さが特徴で、多摩美の絵画3回生で版画を専攻してから10年以上の期間があるにもかかわらず、作品をわずか30点しか残していません。

入念な構成と、作品の小ささ、少数精鋭の姿勢から真っ先にイメージしたのがオランダの画家であるフェルメールでした。

 

≪孤島≫ 1987年 エッチング 八王子市夢美術館蔵

※絶筆

 

自殺か?

死因については色々調べてはみたのですが、病歴がないことやネット上に情報がないということで自殺ではないかと考えました。

これだけストイックな製作ができるというのは、もう精神を病んでいないという方がおかしいと思うのです。

個人的には超人的な技巧にもう少しスキが見えるぐらいの方がいいかなと思うんですよね、少し均質的過ぎて作品を見づらいし、ポイントがつかみにくい。それが個性だし長所であると思うんですが、悪く言えばどこをみていいのか分からないし、その病的なまでの性質というか天性のものが彼女を死に追いやったんだろうことは容易に察しがつきます、それがたとえ自殺ではなかったとしても・・・。

 

≪後日譚≫ 1980年 エッチング 八王子市夢美術館蔵

 

影響を受けた画家も展示されていた

清原啓子が最も影響を受けた版画家ジャック・カロギュスターブ・モローオディロン・ルドン、ルドンの師匠であるロドルフ・ブレスダンの版画も展示されていました。

特にモローは水彩画が国内から一点来ており、さすがの技術でした。

 

ギュスターブ・モロー ≪救済される聖セバスティアヌス≫ 1885年 水彩、グァッシュ 群馬県立美術館蔵

 

ルドンの版画ヤバかった!

世界的な版画家はやはり凄かったです、とくにルドンの版画が際立って見えました。過去に観たことがあると思うんですが、今回のように版画ばかりの中にあるとその特異さが目立ちました。

ルドンの版画は白黒なのに色を感じるんですよ、それから得たいの知れない生命感といえるようなものが描かれた怪物から感じられ、やはり手数でも才能には全く叶わないと感じさせられました。

 

オディロン・ルドン ≪『聖アントワーヌの誘惑』第一集 Ⅸ いたるところで瞳が焔をはく≫ 1888年 リトグラフ 群馬県立美術館蔵

 

まとめ

展覧会を鑑賞した直後は、最後にルドンやブレダンの展示があったことで、清原啓子の印象は薄かったんですが、半日ぐらいたった辺りから急にまた見たいと思わせるなにかに気づきました。

≪領土≫ 1981年 エッチング 八王子市夢美術館

 

夭折したということは、単に技術だけではない命を削るようななにかを作品に刻んでいたのでしょうか。そのことから、やはり本物であり、確かな才能もまた備えている美術家だと認識できました。

※詳細サイト、清原啓子の宇宙

 

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サンシャワー東南アジアの現代美術展~1980年代から現在まで~感想

 

サンシャワー東南アジアの現代美術展~1980年代から現在まで~(国立新美術館×森美術館)

六本木発。アート・フェス!Roppongi ArtFest!

2館同時開催の六本木アートフェスを観てきました。

 

足を運んだ理由

正直言ってあまり乗り気でもなかったんです、東南アジアの現代美術家なんて一人も知りませんし、東郷 青児展怖い絵展などの興味深い展覧会は探せばいくらでも見つかるので、あえてこのフェスに1.800円も出して足を運んだ理由は、やはり自分が日本からの逃避先としてベトナムやタイなどの東南アジアを思考していることが関係しています。

 

下~中間層しか知らない

今までのベトナム旅行や日本での就活で、外国人実習生の厳しい受け入れ環境や、ベトナム人でいえば下~中間層までの間の人々は観たことがあるんですが、アートという比較的教育が必要な階層へのアプローチをすることによって、現在への東南アジアをより深く知ることになるのではと考えました。

芸術は予言する

芸術は50年後の最先端の価値観を予言すると言われます、そして大衆の理解からすれば約100年後の価値観を予言しているといわれます。現代アートとは程遠いピカソゴッホなどの100年以上前に活躍した画家が、最も知名度があるということがそのことをよく表しています。

東南アジアの50年後が見える

ということで、この展覧会を注意深く観れば、東南アジアの50年~100年後の世界が観えてくるということがいえ、私にとってはタイムリーで、絶対観ておくべきと判断しました。

森美術館の会場は、展望台併設のため中高生で大賑わいでした。

フェスの感想

国別の個性

ベトナムは戦争の傷跡が目立つ作品が多く、長い戦争の歴史を感じさせました。カンボジアでもポルポトに着想を得た作品の展示がありましたが、自国の内戦と外国の干渉ではなにかが違うのでしょうか、カンボジアでは独特のシャーマニズムなどに着想をえた作品も多く観られました。

作品は、立体、平面、映像、体感となんでもバランスよく楽しめる。

芸術とはなにか

芸術とは、アートとは一体何でしょうか、戦争や他国の干渉に苦しめられ続け、生きるのが精一杯であったろう国々に多くのアートが残っており、現代のアーティストに影響を与えている。皆、なんの利益にもならないのに自分を表現するために路上などで行った、即興アートなどの記録が多く展示されていました。

真のアート

その数々の記録をみると、アートとはキャンバスや守られた環境に生まれるもではない、生きることそのものがアートなんじゃないのかと思えて来ました、そしてそれはおそらく正しいのではないでしょうか、どんなに他人から見たらおかしなことでも、突き上げてくる内圧に従ってなにかをするとき、それは真にアートなのではないかと思うのです。

まとめ

10.23(月)までの残り少ない開催期間なので、このレビューもあまり意味がないかもしれませんが、個人的にはとても良い展覧会となりました。

普通に作品のクオリティーが高く美術展として楽しめました、これは正直意外だったのですが、修学旅行?などで来たであろう中高生なども

「楽しい楽しい」

と喜んでいる声を聴くことができました。

森美術館は今回2回目だったのですが、国立新美術館の展覧会は改めて行って後悔はないなと思いました、それぐらいコンセプトや見せ方がよく、予算が違います。今後も、国立新美術館の展覧会は要チェックだなと思いました。

 

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葛飾北斎、富嶽三十六景~奇想のカラクリ~(太田記念美術館)感想。

宮崎進~すべてが沁みる大地~を観てきた(感想)。

 

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葛飾北斎、富嶽三十六景~奇想のカラクリ~(太田記念美術館)感想。

原宿の太田記念美術館で北斎を観てきました

北斎ブーム

葛飾北斎の娘、葛飾応為のドラマができたり、北斎の人生がクローズアップされたり、北斎が改めて注目を浴びてブームといえるようなものが来ている気がします。一日NHKをつけていると、一度は北斎という名前を聞く機会があるように思います。

それにあやかった展覧会なのでしょうか、太田記念美術館で全46点の富嶽三十六景が一挙に公開!ということで観てきました。それからNHKでも特番をやっていた葛飾応為さんの「吉原格子先之図」も特別公開されており、それも見どころとなっていました。

≪神奈川県沖浪裏≫

 

富嶽三十六景

正直あまり浮世絵というものはみたことがありません、写楽や広重だったでしょうか?、数年前に三鷹駅前の美術館の浮世絵展で観たぐらいで、北斎は初めて観たような気がします。最初の機会で、富嶽三十六景の全46点の作品がみれたのは運が良かったと思います。

 

凱風快晴

凱風快晴(がいふうかいせい)といえば、テレビ東京系列の「美の巨匠たち」でも10年ぐらい?前に観た気がしますね、まだ美大生だったような気もします。一番最初に展示されていたのですが、これが一番良かったです。有名なビッグウェーブとか、斬新な構図の傑作がたくさんあったのですが、やはり赤富士が一番でした。

 

雲がスゴイ

富士じゃなくて雲が描きたかったんだな、この絵をみてそう感じました。それぐらい実物は背景の雲が主張しており、ブルーの美しさが斬新な雲の形を際立たたせていますが、それは実物しか感じることができませんでした。

 

色彩の透明感がスゴイ

一番驚いたのは浮世絵の色がすごくきれいだということです、まるで透明水彩のようなきらめきを帯びており、これは実物を観ないと分からなかったことで、他の作家の浮世絵とは全く違うと感じました。特にプルシャンブルーを使ったという青に特徴があり、北斎ブルーとでもいえるような世界を堪能できます。とにかく実物は色が綺麗です。

 

葛飾応為

展覧会のハイライトは娘の応為(おうい)さんという印象を受けるぐらい、クローズアップされていました。応為さんだけの図録まで売られていたのには驚きました、それが飛ぶように売れていました。

 

吉原格子先之図

この絵が凱風快晴に並ぶ別格の良さでした、女性が描いたとは思えないようなドラマティックな光と影、空間表現が卓越した絵画で、間違いなく名作です。現代にも通用するようなモダンさを備えており、非常に斬新な印象を受けました。

今後、葛飾応為の名声がますます高まっていくのではないでしょうか。

 

まとめ

東京に在住の人は行って損はないと思います、北斎ブームとあって火曜でも人が多めでしたが、美術館の内装や照明、見せ方もよくて絵をひきたたせていました。

とにかく北斎親子の色彩感覚の良さが際立っていると思います、それは印刷物では味わえないことだと思いました。

日本人として、誰が観ても損がない美術展だと思います。

 

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宮崎進~すべてが沁みる大地~を観てきた(感想)。

『昭和の洋画を切り拓いた若き情熱』(八王子市夢美術館)を観てきました。

 

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宮崎進~すべてが沁みる大地~を観てきた(感想)。

宮崎進を観てきました(多摩美術大学美術館)。

 

美術展にハマっています。

無職にも慣れてきた

無職も11ヵ月となり、少し心に余裕ができているかもしれません、貯金は減っていますが・・・。

単身東京に来て5年、縁もゆかりもない場所でなんとか生きていますが、タクドラ時代は観光する余裕はほとんどなくて、

  • デ・クーニング展(ブリジストン美術館)
  • モネ展(たぶん上野のどこか)
  • 国立近代美術館の常設
  • 国立現代美術館の常設
  • 立体の作家(ホテルオークラの横の美術館)

3年半でこれぐらいしか行った記憶がない、たぶん年に1回ぐらいのペースだったと思うので本当にもったいないことをしたなと思っている。趣味にしてブログでも書いていればと思うと、どれだけの名品に出会えたことだろう。まぁ、有職中はそんな余裕もないのかもしれない、たぶんそうなのだろう。

 

多摩美術大学美術館

初めて行く美術館だ、東京多摩市の多摩モノレールと小田急の多摩センター駅前にある。風の谷からは一時間弱(5,6駅)であろうか?八王子市夢美術館についで近い。

今回は、アルチンボルド展や、藤島武二展ブリューゲル展などが観れずに終わってしまい、それでもまだ9月なのでなにかあるはずだとネットで探して見つけた。もっとも私は有名な展覧会よりはこういう地味な人気がなさそうな作家の方がゆっくり観れるし好きだ、料金も300円と無職には優しい。

 

東京陰陽うぃ~

東京は本当にすごい、有名企業、美大、自治体の規模が大きいので、地方市立美術館なみのところが100以上集中している、つまり一年中調べれば行きたい展覧会があるということかもしれない。

しかし、世界一の経済都市として、大事なものをたくさん見失っての美術の宝庫だということは忘れてはなるまい。自然に美術は勝てない、どれだけ金を優先し自然が失われていうかということの象徴だろう。

 

宮崎進

なんとなく名前ぐらいは知っている程度、知名度としては難波田龍起宇佐美圭司ぐらいですかね、最近まで生きていた方です。水木しげる先生のように過酷な戦争体験を持っており、シベリア抑留されていたことでは有名で、これはなんとなく知っていましたが、それなら香月泰男の方が有名ですよね。

 

過去最高の美術展でした。

結論として、過去最高の美術展だと思った。

私は両親ともに絵を描く家庭だったので、おそらく小学校に入るぐらいには北九州市立美術館などでピカソなどを観ていたので、数としては相当な美術展を観ているはずです。しかしこの東京の辺境で行われているこの展覧会は桁違いに良かった。

 

最初の印象

会場に着いたときは、並の展覧会だと思った。会場に入ったとたん、子供の声がうるさいのでなんだと思うと、すぐ職員が寄ってきて

「小学生が見学授業をしているので、すいませんがご自由に観れますので」

と断りをいれてきた。なんとまぁ幸せな小学生だ、そんな授業は田舎ではなかったしできない。

会場全体で10人いないぐらいの来場者だったが、小学生やら引率の先生、学芸員で会場は賑やかだった。

作品は汚くて、暗いという印象を受けた

 

全部で4部屋

二階もいれて会場は4部屋あった、けっして広くはない。会場にしばらくいると、だんだん心地いい感覚に体が支配されていった。全ての作品を観終わるころには何とも言えない初めての感情を味わっていた。

実際は大きな大作が多いですが、写真だと良さが伝わりにくい・・・これはアトリエに残っていたものだそうだ

 

なにを感じていたのか

味わったこともない初めての感情、感覚に襲われて私は頭をかかえた、そしてあることを思いだす。

そうだ、これは瞑想中にも何度か味わったり、昆虫や生物を観たときに稀に感じる命の輝きではなかろうか。事実、このヒロシマやシベリア、戦争を題材にとった作品、苦しみの表情を浮かべる面々があるだけの会場全体から感じるのは、マイナスの感覚ではなく、圧倒的なプラスであり、希望であり、喜びであった。

そして、私は思った。これは生命の、地球の美しさが奇跡的に表現されている。だからこんなに心地よくて生きる希望がわいてくるのではないか・・・

 

不思議な体験をした

不思議な体験をさせてもらった、なんかしらんけども出家の決意が揺らぐような経験だった、またこのどうしょうもない世界で生きてみようかと思わせるほどのインパクトがあった。私よりはるかな痛みを味わったであろう人が放つ、それに相応じた渾身の光であった。

これはボデーシリーズというらしい、なんかしらんけどもう完全にうぃ~だ、私より上だ。

 

 

とりわけ私が眼の前にしたのは、生きる意志と力を失わない人間の持つパワーである。あの凍てついて何ひとつない荒野から立ち上がって人間らしい営みを取りもどし、生きるための様様なるものを創り出した人間そのものの姿である。

1995年、宮崎進

 

まとめ

私は人間、宮崎進の前に完全にひれふしてしまった。私のうぃ~は、この人の前ではゴミのようなうぃ~レベルでしかなかった。

なんか分からんけど、たしかに頂いたのは希望だ、それも大いなる希望。私は珍しく学生の時以来の図録を買って会場をあとにした、もう小学生の姿もなかったけれど、私の心は珍しく賑やかだった。

 

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『昭和の洋画を切り拓いた若き情熱』(八王子市夢美術館)を観てきました。

『昭和の洋画を切り拓いた若き情熱』展

一九三〇年協会から独立へ(八王子市夢美術館)

佐伯佑三の絵が展示されてるということを八王子市市報で知ってから、目をつけていた展覧会だったので開催日に行ってきました。

 

 

佐伯佑三

気になっている画家のひとりで、日本の画家では今一番観たかった画家です。なかなか東京ではまとまってみれる場所がないようで諦めていましたが、八王子市がやってくれました。

4点しかなかったんですが代表作を集めたといっても良い絵が揃っていて満足できました。人がほとんどいない(会場全体で10人ぐらい)ためゆっくりと堪能してきました。

特に間違いなく代表作といえる、≪≫と≪リュクサンブール公園≫は圧巻でした。

 

海老原喜之助・須田国太郎・古賀春江

美大生なら誰でも知ってる画家としてはこの3人がいましたが、作品は1点づつのみでした。

 

その他の画家

里見勝蔵、児島善三郎など、どの画家もゆっくり見るはじめての機会でしたが、やはり鑑賞に堪えうる作品はほとんどありませんでした。代表作はさすがに見応えもありましたが・・・

 

才能

才能というのは本当に残酷なものです、作品はありませんでしたが同じ1930年協会でも長谷川利行三岸好太郎なら世界にも通用するだろうし、その価値はどんなものでも数千万円(もちろん佳作は億越え)はくだらないでしょうに、同じ会員でもダラダラと駄作が並んでいました。価値はせいぜい数百万あればいい方でしょう。

現代人が現代人に評価される絵を書くのは簡単だと思うんです、しか100年後に評価されるというのは本当に難しく、技術を超えたものが必要となってきます。才能の難しさを改めて感じさせられた展覧会でした。

 

八王子市と文化

北九州市や京都市(北白川、嵯峨天龍寺、一乗寺など)、三鷹・吉祥寺など、今まで比較的文化的な土地に住んできたため、絵や文化に身近に触れることができましたが、八王子は文化から縁遠い街だと思っていました。今日、美術館に行くために八王子駅前を歩いてい観て、年齢層は高いですが文化的な空気を感じることができてうれしく思いました。

 

バス一本で美術館

バス一本で片道30分、往復500円以下である程度の市立美術館まで行けるのは大きいと感じました。今日の入場料が700円だったんですが、年間パスポートを1400円だして買いました、あと一回はまた≪扉≫を観に行こうと思います。

 

 

まとめ

やはり佐伯佑三は実物も良かった、残念なのは代表作の広告モノが観れなかったこと、しかし人の少なさも加味すると、全国でも現在屈指の展覧会であると思った。

おススメできます!

次は佐伯佑三の作品をもっと観たいのと、海老原喜之助が観たいと思いました。

 

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『ボストン美術館の至宝展』(東京都美術館)の感想。

ジャコメッティ展(国立新美術館)に行ってきた

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『ボストン美術館の至宝展』(東京都美術館)の感想。

ボストン美術館の至宝展(東京都美術館)に行ってきました。

すぐ隣の国立西洋美術館では、『アルチンボルド展』をやってるんですが、私はこっちのほうが興味があったので、わざわざ免許更新を江東区まで行って寄ってきました。

本当は両方見たかったのですが、免許更新が違反分類で2時間かかったしまったので、時間的に断念しました。

東京都美術館、上野公園では芸大のフリマが開かれていた。

 

目玉作品

ゴッホの有名なルーアン夫妻や『風仙図屏風』、『涅槃図』など目玉商品が満載で1,600円の入場料も少し高いけど納得のボリュームでした。

 

人が多すぎる

残念な点として、上野の美術館は平日なのに人が多すぎます。

六本木の国立新美術館など、美術館がまとまっていないところでは余裕をもって観れる印象があるのですが、上野公園でゴッホとかになると、アルチンボルド展もあり、他にも院展、深海展、杉戸洋個展、芸大秘蔵展?ほかに大小10ぐらいの展覧会が人を呼んで大変な人の数です。

なれない免許更新で、違反講習などで疲れていたこと、通勤ラッシュに巻き込まれないうちに帰りたかったことなどから駆け足で観てしまい、今後悔しています。

行かないだろうけど、もう一度見たいです、それぐらい充実の内容でした、駄作が少なく名品ぞろいです。

 

良かった作品

目玉の作品はすべて良かったですが、中でもモネ睡蓮が一番良かったです、睡蓮の中でも大傑作だと思います。

 

モネの『ルーアン大聖堂』も初めて実物を観た気がしますが、良かったです。二点とも長時間の鑑賞に堪えうる素晴らしい近代美術だと思いました。

どの巨匠が言っていたか忘れましたが、

”モネはただの眼に過ぎない、しかしそれは素晴らしい眼だ”

という言葉を、絵を観ながら思い出していました。

 

杉戸洋、個展

同じ東京都美術館内で、杉戸洋というメイン洋画家?の個展が開かれていたのでついでに観てきました。独自の世界観が堪能できて全然悪くなかったのですが、本物の反動でギャップを感じてしまい、後から観るものじゃないと思ってしまいました。

しかし、

  • 人が極端に減るので、ゆっくりできる
  • 絵以外の自然光からの光や演出も楽しめる

ので、日付を変えて観るか、先に観ることをおススメします。

一枚買ったら、違う日にもう一度観れるというチケットの制度がうなづけました。

※杉戸洋、とんぼ と のりしろ 公式サイト

 

まとめ

ハッキリ言って、『ボストン美術館の至宝展』はおススメの展覧会です。

時間があれば『アルチンボルド展』ともう一度『ボストン美術館の至宝展』にも行きたいところですが予算の問題でいけないだろうなぁ。

※ボストン美術館の至宝展、公式サイト

 

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ジャコメッティ展(国立新美術館)に行ってきた

就活の所要があって西麻布へいくことになりいつぶりだろうか、港区へ行ってきた。

おそらく、3年前に婚活パーティーに行って以来か?

美術館も港区は行ってないな~もちろんタクシードライバーとしては嫌っていうほど走ってるから、超馴染みの地域ではあるけど、徒歩だと景色が違うもんで全然わからんかった。

東京ミッドタウン

 

アルベルト・ジャコメッティ展

前日調べた限りでは、国立新美術館で近代彫刻最大の巨匠、ジャコメティ展が開催中ということで寄ってきた。

概要(ホームページより引用)

スイスに生まれ、フランスで活躍したアルベルト・ジャコメッティ(1901-1966年)は、20世紀のヨーロッパにおける最も重要な彫刻家のひとりです。アフリカやオセアニアの彫刻やキュビスムへの傾倒、そして、1920年代の終わりから参加したシュルレアリスム運動など、同時代の先鋭的な動きを存分に吸収したジャコメッティは、1935年から、モデルに向き合いつつ独自のスタイルの創出へと歩み出しました。それは、身体を線のように長く引き伸ばした、まったく新たな彫刻でした。ジャコメッティは、見ることと造ることのあいだの葛藤の先に、虚飾を取り去った人間の本質に迫ろうとしたのです。その特異な造形が実存主義や現象学の文脈でも評価されたことは、彼の彫刻が同時代の精神に呼応した証だといえましょう。またジャコメッティは、日本人哲学者である矢内原伊作(1918-1989年)と交流したことでも知られ、矢内原をモデルとした制作は、ジャコメッティに多大な刺激を与えました。
本展覧会には、ジャコメッティの貴重な作品を所蔵する国内コレクションのご協力も仰ぎつつ、初期から晩年まで、彫刻、油彩、素描、版画など、選りすぐりの作品、132点が出品される予定です。

 

 

国立新美術館

ここは昔画家を目指していた時、2010年の東京美術滞在以来の訪問となった。何度もタクシーでは行っていたけど、7年ぶりの美術館はとても懐かしく感じた。

開館10周年という国立新美術館

 

歩いてる男性シリーズが代表作らしい、良かった

 

展覧会の感想

お勧めできる

都内の美術好きは行った方がいい内容であった、特にそんなに期待せずについでに行ったのでギャップが大きいものがあった。

彫刻スキの人以外は、ほとんど実物はみる機会がなかったのではと思う、あれほど小さい作品が多いというのは新鮮だったし、そちらの仕事がメインという感じさえした。

 

撮影OKのものがあった、SNSの拡散狙いか?

 

印象が変わった

自分は絵画畑の人間だから、デッサンなどには期待していたけど、やはり彫刻が良かった。ギリギリまでそぎ落とされたフォルムによって、作品は弱さよりも強さを得ており、そのことによって人々の価値観を間違いなく一つ豊かにしたのではないかと実感できたことによって、たいへん素晴らしい作家だと気づかされた。

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