四平市うぃ~日記
さしあたって、どうやってバックレたものだろうか?
男はすでにばっくれを意識した自分から逃げる風もなく、新たなバックレヘ舵を切ろうとしていた。
しかしそれは無理もないことなのかもしれない。
悪いことに飛行機の乗り継ぎに失敗し、韓国はインチョワン空港に一日幽閉されたのだ。
まだフライトまで、50分以上の時間があるにもかかわらず、
「finish」
の一言で片づけられ、私は人生で初めて土下座をした。
そりゃそうだ、だって長春空港にはわざわざ四平市からお迎えが来ているのだから。
必死の努力も実ってなんとか翌日の航空券を手に入れるも、すでに長春国際空港についたころには、なにが
「長い春だ」
などといってふてくされさえもしていた・・・・
男はそれでも130キロも離れた場所から迎えに来た車になんとか乗せられ、それはそれとして四平うぃ~を目指しはした、というよりも目指すほかはなかった。
前日に無駄足をくらったお迎えの二人、今日が雪のために高速道路が使えないことになげいていたので、空気は良くなかった。
ただその重い空気を、同じ外国籍の講師としてやってきたロシア人の美しい女性講師のオーラが中和しているのが見えるようだ。
彼女もまた、モスクワからの24時間にもわたるフライトで疲労困憊していた。
ロシア人の先生も来ているからと、私は午後から夕方まで待たされていたのだが、なんとなく二階の食堂からヒッピーのおっさんをうぃ~を、大学職員が捕獲して連れてきているのが見えたのだが、私の前に現れたのは瞳の青い美しい女性だった。
なんだかもう、疲れ果てておかしくなっているのかもしれない。
名前はアンナと言った、彼女は英語はできるが、私はできない。
それでも私はなんとかコミュニケーションを図るが、高速不使用で3時間もかかる道中の中、運転手以外はみないつの間にか眠っていた。
彼女は留学生の寮に入れられることを嘆いていた、生徒として見られるのが嫌なのだろうが、私はもうどうでもよかった。
一つだけ良いことがあるとしたら、部屋が角部屋だった、しかしそれが良いことだと思ったのは一瞬だった。
カーテンを開けて私は愕然とする、、、、混沌としていたのだ、全てが。
私の想像を超える程度に混沌としており、ここで一年も暮らせるはずがない、私はそう思いながらいまいち暖房が分からず、シャワーのお湯も出ずに浴びれず、寒い部屋で凍えるように眠った。
ドライヤーの爆発とパソコンの故障
次の日からはさらなる地獄が待っていた。
挙げればきりがない、さしあたって初めてドライヤーを使った日に、ドライヤーがバチッという音と共に煙を上げて爆発した、今までの人生で聞いこともない音がした、外見はなんとか保っていたが、まるで考える瞬間を与えない程に
「兄貴、あっしはもうダメですうぃ~」
というドライヤーの声が聞こえた気がした。
それからほどなくして、今度は命綱であるパソコンが壊れた。
パソコンについては、ただでさえネットワーク環境が崩壊しており、ネット規制でツイッター、line、ヤフー、グーグル、Gメール、すべての検索エンジン、ワードプレス管理画面、はてなの管理画面にアクセスできない(スカイプだけ使える)ことが分かって絶望していたのに、これにパソコンまでが動かなくなったしまって授業を行うことすら困難になってしまった。
うそだろ?嘘だろ?
と私は何度もパソコンをたたいたり、コンセントを変えたりしている途中、またドライヤーの時のように、軽い火花がバチッとなった。
おいてめぇ~中国製だろうがよ~と言いながら必死にパワーボタンを押したが、再びパソコンが息を吹き返すことはなかった。
その後もトラブルは続出した、いきなり朝寝ていると
「授業が始まっています」
と電話が鳴ったりしたが、それを
「間違ってました、テヘへ」
で済まされた。
視力が急に落ちて仕方なくチャイナうぃ~の眼鏡屋で眼鏡を買った。
それから書類の一つが、あちらの手違いで持ってきてないため、急いで日本から国際便で送ってもらっているが、それが予定通り届かないと、どうやら私は中国にはいられないらしい。
そんなこんなで、怒涛の如く慌ただしい一週間が過ぎていった。
四平市で私は泣いています
私の住む留学生寮を出ると、半分ぐらいの確率で日本の有線放送を大音量で流している散髪屋がある。
その前を通るたびに私はなんともいえない感傷に襲われている。
それはまるで、とめどもなく押し寄せる輪廻が、自分をここに運んできたことを正当化するように、意味のない日本の歌を紡いでいた。
コメント
いよいよ中国での生活がはじまったんですね!
いきなりトラブル続出で本人はとても大変だと思いますが、読み手としてはめちゃくちゃスリリングな展開で面白いです。
このハラハラドキドキ感を今後も味あわせてください。
次の更新が今から楽しみです!
楽しんでもらえてなによりです。やはり経験がブログには必要なんだということが分かりました、多分この環境なら、面白いものと意識しないでも読み手には楽しく読んでもらえる記事できると思います。
今後とも暇をみつけて書いていこうとは思っています。