インド旅行記5

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-コルカタⅡ-

コルカタの気温にとまどい、体調の悪さも昼間からピークに達する。パラゴンのドミトリーに着くなり死んだように眠り、8時過ぎになにか食べておかないとと思い、やっと起きて外へ出る。一人で歩くサダルストリートの夜は、すこし以前より小さく身近に感じた。私はホテルのすぐ近くにある馴染みの、あんかけ麺をたべ、食後にラッシーを飲んだ、とても美味しく体調も回復しそうな気がした。自分にはこの暑さでも、中央インドがしっくりくる、ダージリンとかガントクは今の自分には合わなかった。ゆっくりしにインドに来たわけじゃない、この暑さを味わいに来たのだから・・・。

コルカタに戻ってきた1日目は、ひたすら寝ていたおかげか、2日目には回復していた。この日は、日本人大勢で、少し離れた植物園に行くことになる、世界一の樹であるバーニヤンの樹を一目見ておこうというわけだ。ひさしぶりの観光で胸躍り、暑い日差しの中をやっと思いで見つけたわりには、いまひとつであった。もっと迫力のある風貌を想像していたので、貧相に感じてしまったのだ、見せ方も良くない。しかし、エスプラネードを多くのバスが経由すること、ハウラー駅行きのバス停が分かったことなど、交通面での収穫が多かった。

夕方から、パラゴンの思い出にと絵を描いて、とても良い傑作ができた。周りの人々もなんとなく集まってきてとても褒めてくれる。絵をやっていて良かったなと感じたし、自分の唯一の武器にできるかもしれない、と初めて思い知った。絵を囲んで雑談していると、ひときわ絵に興味を示す女性がいた、彼女も絵を描くそうだ。彼女はリナさんといい、マザーハウスのボランティアで滞在しているらしい。私も絵を見せてもらって、とても良い感性をしているなと感心した。

私の絵が、「つみきの家」の雰囲気ににているといわれ、とても嬉しく、自然と話が盛り上がってしまった。「つみきの家」は私がバイブルのように位置づけたアニメーション作品だからだ。遠い異国の地で、同じ感性を持った人に出会えたことはとても感動的で、良い思い出となった。

コルカタ3日目は、すっかり打ち解けたハニブチさんと、鉄道予約オフィスへチケットを取りにいく。何が良かったのか、会話は途切れることなく続き、道に迷いながらも楽しい道中であった。切符を買う直前になって、私はバラナシからブッダガヤーへと行き先を変えてしまう。この判断は自分らしいといえばそうなのだが、行かなければもう一度インドに呼ばれるだろうと感じたからだ、もっともルンビニーや南インドに呼ばれないという保証はないのだが・・・。それからインド人にボールペンを貸してそのまま逃げられてしまいショックを受けた、ボールペンが貴重品だと認識していなかった自分のミスである。

夜はソナガシへ行く、自分は行ったことがある唯一のメンバーとしてまた重宝がられた。タクシーを6人でシェアして往復300ルピー、安いものだ。結局街をのぞいただけで、皆でそろって帰ることになる、一週間前のメンバーと比べて、タイプの違う上品なメンバーだった。

この旅に感謝しないといけない。まず自分に感謝し、親に感謝し、お金という意味で、日本国民全員に感謝したい。この旅で、危険な目にあうかもしれない、しかし例え命を失うことがあっても、日本で過ごすよりもはるかな苦労、喜び、人とのつながりをを確かめられた気がする。インドにも感謝したい、この旅でもっと自分のことを少しでも理解して帰りたいと思う、きっと前よりも自分のことが好きになれ、認めてやれると思う。ホテルマリアに移って、シングルルームの中で出てきた言葉に、自分でもほっとする。

5月22日

5月22日は、朝から一人でカーリー寺院へ予定通り出発、昨日のお酒も残っていたし、寝たのは二時ごろだったはずだが、なんとか6時半には起床、メトロでカーリーへ向かった。カーリー寺院までの道も自信がなかったが、パクシーシのような、でもお金も求めてこなかったから単なるヒンデゥー教徒だかがガイドしてくれて、すぐに見つけることができた。
噂通り一時間ほど待たされたが、その瞬間はいきなり訪れた。私が立ち上がって、人込みに入った時、屈強な男性が、今にも大鉈をふるわんとするところだった。泣きわめく子ヤギに、ためらいもなく大鉈がふるわれる、子ヤギはすぐに首と胴体が分かれ、死への道を辿っていった。打ち震える観衆と、たんたんと解体をすすめる執行人、そのコントラストはまるで、無言のお経のようにその場にひびいていたように思う。一匹で終わりだろうか、時間が空きそうなので、そそくさとその場をあとにする。
地下鉄に乗っていつもの場所で朝食を済ませたころ、まだ時刻は朝の9時過ぎであった。いつもなら、一人の時はチャイを自分からお代わりすることはないのだが、この日は自ら2杯目をたのんだ。まるで、朝の衝撃をリセットするかのように・・・。

それで、コルカタ、サダルストリートの詐欺師を呼び寄せてしまった。

つづき