チャイナドレスは本当に美しい。
ベトナムの伝統衣装であるアオザイに似ている。
スタイルがいい民族だけに、このようなピッタリした服は映える。
しかし、ベトナムのアオザイとは決定的に違う点がある。
それは、チャイナドレスが商業的な衣装である点だ。
対してアオザイは商業的な意識で派手になったとはいえ、ベトナムを真に代表する伝統衣装だ。
アオザイは、韓国のチマチョゴリや日本の着物にあたる服である。
中国人とチャイナドレス
中国のチャイナドレスは、その見た目の派手さから、伝統衣装ではなく商業的な目的で使用された。
次第に有名となり、特に海外では中国人を最も象徴する伝統衣装として定着してしまう。
しかし、実際に日常生活でチャイナドレスを着ている女性をみることは、サービス業の人以外ない。
チャイナドレスは満州族の伝統衣装
チャイナドレスは満州族の伝統衣装である。
満州族というのは、現在台湾の中華民国以前、清王朝として中国大陸やモンゴル、台湾ベトナムまで支配した王朝だ。
この満州族は現在中国の人口の1%未満。
約1000万人が住んでいる。
彼らにとっては当然民族衣装だろう。
しかし、とてもではないが中国を代表する伝統衣装とはいえない。
満州族とチャイナドレス
大学で授業をしていると少数民族の少なさを意識することが多い。
人口規模の大きな少数民族でも1000万人ほどしかいないのだから、中国の全人口からすれば圧倒的に少ない。
やはり中国は漢民族の国であるという印象になる。
私の学生で、満州族だった学生は一人だけいた。
女性で名前は日本読みで「カクビョウ」といい、少し背は低いが美しい学生だった。
初めてそれを聞いた時、周囲はざわついた。
満州族と知れば、周囲がざわつく、それぐらい珍しい存在だった。
私も出会ったことがなかったので、本当に驚いた。
彼女ならおそらく、チャイナドレスを正式に着ることがあるのだろうか。
満州族と言っても、言語も生活様式も漢民族と同化してしまった。
もしかしたら、そのような機会もないのかもしれない。
しかし、結婚するのは同じ民族同士だけだという。
彼女もやはり、教室内で恋愛することはついに一度もなかった。
チャイナドレスは中国語でチーパオ
ちなみに、チャイナドレスは中国語でチーパオという。
これを知るだけでも、欧米的な価値観とは違う別物なんだと思えてくる。
中国人にとっては、チャイナドレスは存在せず、それはチーパオなのだ。
中国人の伝統衣装は漢服
中国人の伝統衣装と言えば、漢服が中心となる。
決して、チャイナドレスではない。
これは中国では当然のことだが、日本など外国では認識が違っている気がする。
漢服は、漢民族の伝統衣装なので、当然大学でもみる機会がある。
日本の着物と同じか、もう少し身近な感覚かもしれない。
私の授業でも、漢服で受ける学生が時々いた。
聞くと、特にイベントというわけでもないという。
伝統衣装を着るのを趣味にしている学生は多く。
小遣いで買って、友人たちに写真を撮ってもらうのだ。
小撮影会を開くのを楽しみにしている学生は多い。
チャイナドレスまとめ
結局、
日本には忍者がいて、着物を着ている人が普通にいる。
という誤解と同じようなものが中国にもあるということだ。
その代表格が、チャイナドレスだろう。
もっともイメージ通りのことも多いのだが、なにがどうやって外国に伝わるのかは、考えてみれば興味深いことである。